幸せな気づき 宇宙と意識に繋がる巡礼の旅

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認知症あれこれ(特に『認知症予防』について)

その① 欧米研究にて認知症発症率低下

先日BBCの翻訳記事を読んだ。

 

認知症について世界では明るい兆しが見られている。

 

ただし日本人が好きな

「特効薬が出来た」

「画期的最先端治療」

などの類ではない。

 

www.bbc.com

以下は上記リンク記事からの引用である。

今回公表された研究では、65歳以上の男女2万1057人を対象にした調査で2012年の認知症の割合は8.8%となり、2000年の11.6%から低下していた。

2012年時点で、調査対象者が学校や大学に通った平均年数は12.7%(2012年)と、2000年時の11.8%から上昇した。

しかし研究では、2012年の糖尿病や肥満、高血圧の比率が2000年と比べて上昇したことも示された。

ブレイン教授は、研究結果が「世界にとって非常に重要で、教育を受ける機会がいかに大切かを示している」とした上で、「しかし、複数のリスク要因が関わっているとみられる。妊娠時からの健康やワクチン接種、教育を受ける機会、医療ケア、禁煙が組み合わさることで効果が出る」とも説明する。

教育機会が認知症予防において重要である事は以前から指摘されてきた。認知症患者が2.8%減少しているのに対し、大学に通った年数の上昇率は0.9%である。

 

糖尿病、肥満、高血圧の生活習慣病御三家の比率は上昇したのに認知症発症率は低下している事も意外な事実である。治療薬や対処療法の進歩が御三家のリスクを低下させた結果、脳血管や生活へのダメージが抑えらえた結果かもしれない。

 

御三家の生活習慣病になりやすい生活環境が、現代社会において継続している事は間違いない。

 

またブレイン教授は、『妊娠時からのワクチン接種、教育を受ける機会、医療ケア、禁煙が組み合わさる事で効果を発揮する』と話しており、若者や子育て、疾患とも大きく関係した問題として捉えて行くべき問題なのだろう。

 

その② 知能と認知症予防

 

加齢による生理的変化によって認知機能は低下する事は否めず、超高齢化社会である日本において認知症高齢者が増加するのは「当然」である。

上記で登場した「教育機会」に付随する部分として「知能」が考えられる。「知能」は「結晶性知能」と「流動性知能」に大別される。

www.tyojyu.or.jp

前述の通り欧米でもも寿命は伸びているわけだが、認知症の発症率は低下している。

それに対して日本は皆が周知の通りである。

日本は認知症患者が増え続けている。

 

3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(概要版) - 内閣府

 

TMS研究でも著名な脳科学者の中野信子さんは阿川さんとの対談の中でもこう語っている。

 

みんなが寝静まった頃に 【特別対談】 ドナルド・トランプはれっきとしたサイコパスである――中野信子(脳科学者)×阿川佐和子(エッセイスト)阿川「つまり、『右脳はものをぼんやり大雑把に認識するけれど、左脳は寧ろディテールを認識する力があるってことがわかっただけで、必ずしも右脳が芸術家肌で左脳が理性派とは言い切れない』と。他に、脳関係で身近な話題だと、認知症というのは脳が委縮して起こる現象ですよね。この解決法は無いんですか?」
中野「アルツハイマー型認知症はそうですね。これは、神経細胞の周りに蛋白質繊維が溜まっていることが1つの原因だとわかっているんですが、魔法のように一気に解決する薬は未だ開発されていません。今のところ言えるのは、認知症になり難い人の習慣が3つあること」
阿川「3つ?」
中野「コミュニケーションをよく取ること。これは、脳で新生された細胞をより生き延びさせることに寄与するんだろうと考えられています。そして歩くこと。これは、脳にちゃんと血流を送る効果がある」
阿川「あと1つは?」
中野「動物性脂肪を摂る頻度が少ないことです」
阿川「お肉食べ過ぎたらダメなんだ」
中野「はい。でも私、お肉好きだからなぁ(笑)」

 

認知症になりにくい3つの習慣

①コミュニケーションをよく取ること

②歩くこと

③動物性脂肪を摂る機会が少ないこと

 

これらを見るとスウェーデン式のケアを思い出す。

キリスト教圏でもプロテスタントの多いスウェーデンだが、どんな人と会った時も顔をみてまたハグをするなどコミュニケーションを大切にしていた。

またどんなに介護度が重い人で会ったとしても、歩行補助器具などを使って歩く努力をしていた。

そして意外に思われるかもしれないが、肉や魚は程々で野菜を積極的に食べていた。

 

「コミュニケーション」と「教育機会」に関与する部分として下記の事実に私は注目している。

gigazine.net

 

コミュニケーションを取ることは、社会交流機会を増やすことでもある。

人との関わりを通じで得ること、体験する事は多い。

またそれがストレスの原因であったり、またストレスを解消する場面でもあったりする。

社会参加場面が増えれば当然のように活動機会が増えるわけで、運動量も増える。

 

動物性タンパク質を摂取する機会が少ない人とは、それだけ食に対する意識が高い人であり、栄養素や健康食材をバランスよく摂取する術を知っている。

また自分で料理を作ったり、更にそれを人に振る舞う、教えるなどの活動にも繋がり好循環を生んでいる可能性がある。

 

認知症は誰にでも起こることであり、超高齢化社会においてはある程度存在してしまう事は仕方のない事かもしれない。

 

認知症になることによる損失は計り知れない。

尊厳、人権などの損失。医療費、介護費などの経済的損失。何より記憶のない人生を送る「その人らしさの損失」。

 

少しでも意識や知識、行動によって予防出来たなら、上記の損失は大幅に減らすどころか新しい価値が社会に生み出される機会が増えることになると思う。

 

残念ながら医療保険介護保険制度は充実しているが、この分野に対する経済的支援は我が国、いや世界においても皆無に等しい。

 

環境問題を捉える時、地球や自然に向きやすいが、「人間環境」も問題として捉えて未来をデザインして貰いたいと切に願う。